団塊の世代が全員75歳以上となる2025年に向け、国は人生の最後を住み慣れた地域で過ごせるよう、地域包括ケアシステムの構築を進めている。だが、在宅医療の現場で看取りを担う人材は不足しているのが現状だ。こうした中、一般社団法人エンドオブライフ・ケア協会は昨年、人生の最終段階を支える「援助者」の育成に乗り出した。養成講座の修了者は既に1000人を超え、その輪は全国に広がっている。【敦賀陽平】
横浜のホスピスで10年以上の臨床経験を持つ小澤氏は3年前、同協会の前身となる人材育成プロジェクトを発足させた。「どんな病気でも、どこに住んでいても、安心して人生の最期を迎えることのできる社会」を理念に、迫り来る「多死社会」に向け、看取りの現場に対応できる人材を育てることが目的だった。
「このままでは救急医療が破綻し、苦しむ人が地域にあふれ、尊厳が奪われたまま最期を迎える人が増える。そう感じた」。小澤氏は立ち上げの経緯をこう振り返る。
その後、小澤氏の考えに共感した北里大病院トータルサポートセンターの小野沢滋センター長(現みその生活支援クリニック院長)や長尾クリニック(兵庫県尼崎市)の長尾和宏院長らも加わり、昨年4月21日に同協会が発足。設立時には、看取りの現場で働く医療者ら100人以上の賛同を得たという。横浜で始まった小澤氏の取り組みは、こうして全国へ広がっていった。
在支診などの実績評価、最新の届け出数は-「在宅」進化論(1)
10年で国民意識も医師の参入意欲も変わる-「在宅」進化論(2)
医介連携推進、自治体事業の効果はあるか-「在宅」進化論(3)
(残り1810字 / 全2546字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】
【関連キーワード】