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オプジーボをめぐっては、昨年末に「切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」が効能・効果に加わったことで、対象となる患者数が470人から数万人に増加。患者数が限定された希少疾患のため、高額な薬価が付いていたが、患者数の急増に伴い、薬剤費も大幅に伸びている。
小野薬品工業は薬価収載時、ピーク時の売上高を31億円と見込んでいた。しかし、昨年度の売上高は212億円に達し、今年度は1260億円を見込んでいる。年間販売額が予想を大きく上回る場合、通常は2年に1度の薬価改定で見直されるが、オプジーボの適応拡大は昨年末だったため、秋に行う市場調査に間に合わず、今年4月の改定の対象から外れた。
厚労省はこの日、市場調査が実施された昨年10月から今年3月までの間、効能などが追加された薬のうち、今年度の販売額が1000億円超で、当初の予測より10倍以上となる薬を引き下げの対象とすることを提案。来年度は通常の薬価改定が行われず、市場調査も実施されないため、同省では、予想販売額の提示など企業側に協力を求める方針だ。
■メーカー側の販売額の申告に懸念も
厚労省の提案に対し、委員から大きな反対意見はなかった。日本医師会の松原謙二副会長は、「後から適切でないと分かれば、修正するのは当たり前だ」とした上で、「今回は特例中の特例として、正しい方向に持っていってほしい」と求めた。
協会けんぽの吉森俊和理事は、「企業に予想販売額の提示を求める際は、一定の指標をつくるなど、納得感の得られる情報公開にすべきだ」と主張。また、健康保険組合連合会の幸野庄司理事は、「メーカーの自己申告と実績の間に乖離があった場合、何らかの調整が必要ではないか」と問題提起した。
オプジーボをめぐっては、8月下旬に「根治切除不能または転移性の腎細胞がん」に適応が広がり、現在、他の13種類のがんで治験などが進んでいる。先月末には、競合となるがん治療薬「キイトルーダ」(MSD)が製造販売承認を取得しており、委員からは、今後も同様の事態が起こらないよう、薬価を決めるルールの抜本的な見直しを求める声も上がった。
同省の担当者は、「2018年度の改定に向け、今後、新たな見直しが必要にならないよう、しっかりと検討していきたい」と話した。
■GLの医療保険上の取り扱いは通知で
厚労省では現在、高額な薬を適切に使用するためのガイドライン(GL)の策定作業を進めており、今年度はオプジーボと高脂血症治療薬「レパーサ」などが対象となる。この日の部会では、GLの医療保険上の取り扱いについて、厚労省が薬の使用法などの留意点を通知することを提案し、了承された。オプジーボに関しては、年内に最終案を作成する予定。
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