【千葉大学医学部附属病院病院長企画室長・病院長補佐・特任教授 井上貴裕】
本稿では、救急車搬送は本当に重症なのかを検証し、診療報酬における制度設計を提案した上で、救急医療に取り組む急性期病院の戦略を取り上げる。
1 救急搬送は重症なのか?
“救急搬送”については、看護必要度のA項目で1-2日程度評価してはどうかという議論が行われている。厚生労働省が示した16年度診療報酬改定案のたたき台である「短冊」では、“救急搬送”と表記されているが、最終的には救急車以外の緊急入院も評価対象となる可能性も十分にある。
例えば、現行の診療報酬には「救急搬送患者地域連携紹介加算」がある。“救急搬送”という名称だが、緊急入院で7日以内に連携している医療機関に転院した場合の評価で、ウォークインも対象だ。救急車に乗ってこない重症な救急患者も存在するため、当該評価を救急車だけに限定することは必ずしも妥当とはいえない。ここでは救急車搬送と救急車搬送以外の緊急入院の重症度を検証していく。
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