サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)や有料老人ホームなどの運営を手掛ける「メッセージ」は7日、同社の系列会社の有料老人ホームで虐待などが相次いだことを受け、外部有識者をメンバーに加えた「運営改善検証委員会」と「高齢者虐待防止委員会」を常時設置する方針を発表した。また、法令遵守の取り組みを統括する部署の新設などの施策も示された。【ただ正芳】
相次ぐ介護での虐待、防ぐ手だては?(2015/11/13)
利用者とスタッフのイライラが…(2015/09/15)
昨年から今年にかけて、メッセージの子会社が運営する川崎市や大阪府豊中市の有料老人ホームでは、職員による利用者への虐待が相次いで発覚した。また、川崎市の有料老人ホームでは、入居者の転落事故も発生していたことから、今年9月、厚労省が岡山市にあるメッセージ本社に立ち入り検査を実施し、11月には厚労省から業務改善勧告が出された。
こうした状況を受け、メッセージでは、外部有識者で組織される第三者調査委員会を設置。第三者調査委員会では、虐待が起こった背景や業務管理体制の課題などについて調査・分析を進め、7日に調査報告書を取りまとめた。
この調査報告書や厚労省からの業務改善勧告を受け、メッセージでは、今後の具体的な対応方針を示した。 対応方針には、▽各施設の事故や虐待に関する情報を本社に集約し、原因の分析や対応の指示、防止策の検討などを一元的に実施する▽施設の管理者や地区本部長らを対象とした業務規定等を整備する▽職員に対する高齢者虐待防止に関する研修を強化する―ことなど、施設管理体制の再構築に向けた具体策が提示されている。 さらに、外部有識者を交えた「運営改善検証委員会」や「高齢者虐待防止委員会」を設置する方針も示された。このうち「運営改善検証委員会」は、コンプライアンスや業務管理体制の強化に向け、継続的な検証と改善に向けた提案を手掛ける。「高齢者虐待防止委員会」は、虐待に関する情報収集や原因分析、再発防止策の検討を継続的に実施するとしている。
また、法令遵守に関する取り組みを統括する部署を新設する方針や、社内だけでなく社外の専門家にも連絡可能な窓口を整備する方針も盛り込まれた。 ■虐待の原因などを分析・公表-第三者委員会 同日には、第三者調査委員会の調査報告書も公表された。調査報告書では、虐待などが発生した原因について、経営陣のリスク管理意識の不足や対応困難な入居者の受け入れに伴うサポートの不足、本社や各施設間の連絡・連携の不足、本社による施設への支援の不足などが挙げられると指摘。具体的な対策として、再発防止監視等委員会の設置や本社機能の強化、監査役や取締役会などの機能の実効化、法令遵守に関する部門の機能強化などを提言した。
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