【筑波大医学医療系准教授 三木明子】
医療現場の業務の中で、暴力を防御する力が自然に身に付くことはない。ルールを決めておかなければ、適切な対応はできないだろう。そして、より安全な方法をとるならば1人よりも複数人で対応した方がよいのだが、暴力対応の院内マニュアルには「原則、複数対応」などとあっても、「2人いたら、3人いたら、4人以上いたら、それぞれどのように対応するのか」の具体的な記載はないのではないだろうか。
■KYT場面集を見ながら実践してみよう(その2)
山梨医療安全研究会で行った研修では、看護師、介護士、薬剤師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚訓練士、検査技師、放射線技師、事務職、社会福祉士と多職種の参加があった。
KYT場面集「場面6 患者同士の口論を仲裁する」のロールプレーを見てみよう。参加者はこうして実際に動いてみて、患者の間に割って入る行為は暴力発生の危険が高いことに気付くことになる。なぜ危険を省みず、1人で対応しようとするのか。それは、「患者同士の口論」が暴力発生のハイリスク場面であることや、暴力回避のために注意すべき対処行動が明確になっていないためである。
場面6 患者同士の口論の仲裁場面(2013年10月、山梨県立大池田キャンパス)
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