4階から8階の病棟の廊下に火炎瓶が投げつけられ、廊下、天井、壁などの一部を焦がした―。東海大医学部付属八王子病院で11月22日に発生した放火事件。同病院はこの事件で、一時的に入院や救急患者の受け入れを制限せざるを得なくなった。奇しくも同じ日、東京都内で実際に院内火災を経験した医療関係者らによるシンポジウムが開かれ、病院のBCP(事業継続計画)の重要性を訴えていた。院内で火災が起きた際、入院患者らのスムーズな避難はできるのか。課題や非常用エレベーターなどを使った新たな避難方法を探った。【新井哉】
「診療に支障を来す期間を最小限にするため現状回復に努めております」。東海大医学部付属八王子病院は事件後、被害や対応の状況などの概要をウェブサイトに掲載。火災発生時に迅速に対応した八王子消防署・警察署などに謝意を示すとともに、患者らに理解と協力を求めた。
実際、こうした火災に医療関係者が遭遇する機会はまれだ。だが、放火や失火によって火災が発生した場合、患者や職員が犠牲になる恐れだけでなく、診療体制への支障や廃院につながる可能性があることは、今回の放火事件や、昨年10月に患者ら10人が死亡した福岡市の有床診療所の火災を見れば明らかだ。
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