「とにかく病床を減らせ、減らせではなく、老人保健施設のように、“精神保健施設”のような中間施設が必要」-。精神科病院の長岡病院(京都府長岡京市)を有する一般財団法人長岡記念財団の中野種樹理事長はそう話す。「長期入院精神障害者」の地域移行を促す施策が強化される中、同院も退院を促進し、病床を徐々に削減してきた。その上で、急激な「脱施設化」は患者が行き場を失うとして警鐘を鳴らす。【坂本朝子】
しかし、「ベッドを増やすだけでよいのだろうか」と疑問を抱くようになり、96年に今後の方針を検討する「将来計画委員会」を設置。ハードとソフトの両面から検討を開始した。その後、2002年までに、老朽化した病棟の刷新を図るとともに、病床機能を精神一般病棟、精神科急性期治療病棟、精神療養病棟、老人性認知症疾患療養病棟に再編。段階的に454床まで削減し、7病棟を9病棟に変更し、病棟単位を小さくすることで居住性を高めた。その翌年には、病院の通称を「長岡ヘルスケアセンター」とし、病院のイメージを一新させた。
また、12年には、社会ニーズの高まりを受け、個室を増やしたストレスケア病棟を新設。ストレスマネジメントに有効とされる「心理・社会的プログラム」の提供を開始した。その際、441床に削減し、現在の病棟編成となった。
「ここ数年は、ずっと地域に帰すことに力を入れてきた」と中野理事長は話す。外来機能を強化し、精神障害者向けのグループホームや共同住宅を立ち上げ、訪問看護や訪問介護の体制も強化した。その上で、「すぐに地域に帰ることができる人は既に帰った。自分で自立できる患者はそうするのが理想的だが、今までプロテクトされてきた人がいきなり自立するというのは、なかなか難しい」と話し、さらに地域に帰すためには、段階を経て徐々に地域で自立していく道筋をつくった方がよいのではないかと語った。
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