厚生労働省は19日、社会福祉法の改正などを検討する社会保障審議会福祉部会(部会長=田中滋・慶大名誉教授)に、社会福祉法人が運営する特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設(老健)の職員のうち、16年から24年勤務した人の退職手当金を引き上げる案を示した。離職率が高い介護職員の、職場への定着を促進することが狙い。一方、勤続年数が15年以下の職員の退職手当金は、引き下げる方針。【ただ正芳】
社福に会計監査人、設置義務化の指標提案(2014/11/10)
社福、公的制度外の活動を義務化へ(2014/10/20)
厚労省が提案したのは、「社会福祉施設職員等退職手当共済制度」の改正案。職員の退職手当金を用意するため、社会福祉法人が加入し、掛け金を支払う制度で、今年4月1日段階の被共済職員の数は78万人余り。昨年度までに、7万人余りの職員に合計942億円余りの退職手当金を支給している。 同制度では、あらかじめ定められた「支給乗率」に、退職前6か月分の給与から導き出す「計算基礎額」を掛け合わせることで、退職手当金を算定する。 今回、厚労省は、「支給乗率」について、長く勤務した人に有利になるよう変更を提案した。具体的には、16年から24年間勤務した人の「支給乗率」を引き上げる一方、勤務期間が15年以下の人などは引き下げる方針だ。なお、既に加入している組合員への対応については、経過措置を設ける予定という。 ■「合算制度」、退職後3年まで延長へ さらに厚労省は、同制度の「合算制度」の運用方法の見直しも提案した。 「合算制度」は、共済制度に加入している職員が退職した場合、▽退職手当金を請求していない▽退職後、2年以内に再び被共済職員となった―の規定を満たせば、退職した職場で勤務した期間と、その後の職場で勤務する期間を合計し、退職手当金を算定できる仕組み。出産や育児、介護などが理由で退職した職員の復職を促す狙いがある。 今回、厚労省は、この「合算制度」の規定のうち、退職後、2年以内に再び被共済職員となるという規定について、職員がより復帰しやすい環境を整える狙いから、3年以内と改める方針を示した。
(残り0字 / 全907字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】
【関連キーワード】