診療報酬が抑えられる中、病院などでは原価計算の導入が進んでいる。一橋大大学院商学研究科の荒井耕教授は、原価計算自体の導入はそれほど難しくはないが、その後、現場と話し合い、経営層と現場が納得できるまで改良を加えたり、業績評価と連動させることが、原価計算を本当に使えるようにするための鍵になると言う。また、医療の質や安全性とコストを両立させるためには、現場で眠っているアイデアを生かしながら、クリニカルパスを設計することが有効と訴える。【大戸豊】
1つは診療報酬の抑制政策が長期にわたり、病院も費用をコントロールせざるを得ないこと。もう1つは、病院の事業の多角化だ。
事業領域が広がれば、院長や理事長が1人で法人全体を管理するのは難しくなるため、職員にもある程度、経営を任せなければならない。その場合、やはり経営状況が気になり、数字で把握しておきたい。
荒井氏らが行ったアンケート調査でも、事業を多角化している法人は、かなりの割合で原価計算を導入していることが分かった。
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