社会福祉法人制度の改正などを検討する社会保障審議会福祉部会(部会長=田中滋・慶大名誉教授)が7日、開かれた。この日は、社会福祉法人が新たに取り組むべきと提言されている「地域公益活動」の在り方に関して、厚生労働省が論点を提示。また、「地域公益活動」について、関係団体からのヒアリングも行われた。【ただ正芳】
来年改正の福祉人材確保指針の事項案を例示―厚労省
「社会福祉法人の役割、ますます重く」―規制改革会議・岡議長インタビュー(下)
前回の同部会で厚労省は、事業継続に必要な財産と、それ以外の「余裕財産」を明確に区分した上で、「余裕財産」は、福祉サービスの充実や人材教育、「地域公益活動」へ再投資することを提案。ほぼ全委員から前向きの評価を得た。 前回の部会の議論を受け、厚労省は「地域公益活動」に関する論点を提示。具体的には、▽その定義と範囲▽社会福祉事業・公益事業との関係▽地域ニーズを把握する仕組み▽行政の関与の在り方―などを示した。 これに対し、松原由美委員(明治安田生活福祉研究所主席研究員)は、赤字経営を強いられる法人にまで、「地域公益活動」を義務付けるのは問題と指摘。藤野興一委員(全国社会福祉協議会全国児童養護施設協議会会長)は、増え続ける児童虐待に対応するため、児童養護施設は、ぎりぎりの対応を迫られていると強調した上で、「剰余金などない。(児童を受け入れ続けることができるよう)社会福祉法人制度を守ってほしい」と訴えた。
福間勉委員(全国老人福祉施設協議会参事)は、たとえ財政的な余裕がない社会福祉法人であっても、何らかの形で地域の福祉に積極的に関与する必要があると指摘。藤井賢一郎委員(上智大准教授)も同様の意見を述べた上で、「社会福祉法人が地域の産業興しをするくらいの取り組みが必要。(地域公益活動の)範囲を設定するにしても、狭い意味での福祉にこだわる必要はない」とした。 ■特養に24時間訪問サービスへの積極参入求める声も この日の部会では、関係団体に所属する委員からのヒアリングも行われた。
福間委員は、全国老人福祉施設協議会で実施した地域福祉活動の実態調査の結果を紹介し、▽介護保険施行前からある法人は、それ以降に設立された法人より、地域福祉活動に熱心に取り組む傾向がある▽地域包括支援センターや老人介護支援センターを保有する法人の方が、そうでない法人より、地域福祉活動に熱心―などと報告した。対馬徳昭委員(つしま医療福祉グループ代表)は、「特別養護老人ホームは、施設の入居者だけを介護していてはいけない」と指摘。地域包括ケアシステムで重要な役割を果たす小規模多機能型居宅介護や、定期巡回・随時対応サービス(定期巡回・随時対応型訪問介護看護、24時間訪問サービス)の運営に積極的に参入すべきと述べた。
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