今年度の診療報酬改定で新設された「総合入院体制加算1」は、地域に高度急性期医療の拠点をつくることが狙いだ。だが、キャリアブレインの取材では、大学病院本院に次ぐ高度な急性期医療を担うDPC対象病院のⅡ群のうち、月内に同加算1を届け出たのは千葉県の亀田総合病院だけだった。国は2025年までに、18万床の高度急性期病床を整備する構想を描いている。厚生労働省の狙いは一体、どこにあるのか―。【敦賀陽平、大戸豊、烏美紀子、坂本朝子、佐藤貴彦】
総合入院体制加算(1日120点、14日まで)は、高度な急性期医療を提供する総合病院を評価するものだが、大学病院本院が属するⅠ群のDPC病院は届け出ることができない。つまり、ここで言う「高度急性期」とは、一般の急性期病院を指している。
今改定に伴い、同加算は2つに分かれ、「加算1」の診療報酬は旧加算に比べて倍増した。一般病棟の7対1入院基本料に大掛かりなメスが入る中、今後の高度急性期病床を占う意味で、この加算は急性期病院の関係者の間で注目を集めることになる。
加算1では、これまで「満たすことが望ましい」とされていた年間の手術件数について、▽人工心肺を用いた手術40件以上▽悪性腫瘍手術400件以上▽腹腔鏡下手術100件以上▽放射線治療(体外照射法)4000件以上▽化学療法4000件以上▽分娩件数100件以上―の各基準をすべてクリアすることが必須となった。
一方の加算2では、直近1か月間の総退院患者数のうち、通院の必要のない「治癒」と他施設への紹介の患者(外来化学療法などを除く)の割合を4割以上とする旧加算の施設基準をいったんは除外。加算2が旧加算と同じ報酬であることを考えると、事実上の要件緩和となるはずだった。
だが、こうした施設基準が明らかになった3月の官報告示以後、予期せぬ事態が続く。厚労省側から、算定の要件を覆す通知が続出したのだ。
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