【神戸大医学部附属病院教授・薬剤部長 平井みどり】
筆者の母は一昨年末に膵臓がんで亡くなったが、生前よく「胃の調子が悪い」「わたしは胃が弱いから」と言って、一般用医薬品(OTC)の胃薬を常用していた。実はキッチンドランカーだったためか(肝機能に異常が見られなかったため、誰も指摘していなかったが)、不眠を訴えてベンゾジアゼピンもよくもらっていた。70代後半ともなると、時々妙に被害妄想的になったり、異常に興奮したりすることがあり、そろそろ認知症かなと思い始めたころ、飲んでいる薬を見たらヒスタミンH2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)があった。そう言えば、胃の調子が悪いと文句を言う時に合わせて、精神状態も悪くなっている。「これは!」と思い、H2ブロッカーを飲まないようにしまい込んだ。
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