中央社会保険医療協議会のDPC評価分科会は30日、救急医療入院の割合がほかのDPC対象病院に比べ目立って高かったり、入院患者が持参した薬剤の使用割合が低かったりする病院から実態をヒアリングした。その結果、現在は6通りある「機能評価係数2」のうち、救急医療入院の受け入れを評価する「救急医療係数」の算定の仕方に不明瞭なケースがあることが分かった。このため厚生労働省は、同分科会や中医協にこの係数の算定方法の見直しを提案する。【兼松昭夫】
この日ヒアリングに参加したのは、全入院患者に占める救急医療入院の割合が高い「東京ベイ・浦安市川医療センター」(千葉県浦安市)や、持参薬の使用割合が高い「医療法人豊仁会三井病院」(埼玉県川越市)など計7病院。
救急医療係数は、救急入院した患者に対する入院2日目までの医療資源の投入量と、DPCコードごとの日当点(平均的な診療点数)との差額を補てんする仕組み。入院患者の診療情報を記録する「様式1」の項目のうち、「救急医療入院」に該当する患者がどれだけいるかが根拠になる。救急医療入院に該当する場合、DPC対象病院は「急性薬物中毒」「ショック」のほか、「これらに準ずるような重篤な状態」など10項目の中から理由を選択。この係数のベースとなる「救急医療指数」は、救急入院に該当する患者の人数に応じて算出される。
DPC対象病院全体での救急医療入院の割合が27.2%なのに対し、東京ベイ・浦安市川医療センターでは73.9%と目立って高かった。また、救急医療入院の理由のうち、「これらに準ずるような重篤な状態」が25.4%を占めた。
救急医療入院が多くなる背景として、病院側は、▽救急医療への地域ニーズが高く、一般病床が不足▽症状が急変しがちな小児患者の割合が高い▽総合診療医14人による受け入れ体制の確立-などを列挙。逆に慢性疾患の予定入院が少なく、これらの要素が救急医療入院の割合を押し上げているとした。
ただ、同病院の説明では、救急医療入院の割合と救急医療管理加算の算定割合に乖離があり、この理由については「後日回答する」と述べるにとどめた。
■持参薬は中長期的な課題に、厚労省「全面禁止は困難」
入院患者の持参薬関連では、入院部門の利益を増やすため、入院中に使う薬剤をあらかじめ外来で処方し、入院時に患者に持参させるケースを問題視する声がある。ただ、特に中小規模の病院では、守備範囲外のすべての薬剤の処方に対応するのは困難なため、分科会の委員からは柔軟な対応を求める意見が上がった。
同省の担当者は、入院患者が持参した薬剤の使用を全面禁止するのは難しいとの認識を示した。同省では当初、14年度報酬改定での対応も視野に入れていたが、年末までに意見を取りまとめるのは困難で、16年度以降の中長期的な課題に位置付ける。
【訂正】本文5パラ目「10項目の該当患者は出来高の『救急医療管理加算』と共通なので、救急医療入院の割合は本来、この加算の算定割合と同じになる。」は事実関係に誤りがあり、削除しました。
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