【大磯義一郎(浜松医科大学医学部教授、帝京大学医療情報システム研究センター客員教授、弁護士、医師)】
今回も、消化器病疾患に関する医療訴訟の話題を取り上げます。消化器病疾患で最も訴訟件数が多いのは肝細胞がんで、その中で最も多く争点となるのが、前回紹介したサーベイランスについての問題。そして、2番目に多く争点となっているのが、今回紹介する、手術などの適応をめぐる問題です。
あらゆる部位に次々とがんが発現し、そのたびに肝臓の残存機能を勘案しながら適切な治療方法を検討しなければならない肝細胞がん。もし、ガイドラインから外れた選択をして、患者が亡くなってしまったら、診療の過失の有無はどのように判断されるのでしょうか。具体的な事案を基に解説します。
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