【籔本恭明(弁護士、医学博士、中小企業診断士、MBA、ファイナンシャルプランナー)】
最終回である今回は、組織マネジメントの視点での取り組みについて紹介します。
大切なことは原因分析です。原因が分かれば対策は見えてきます。
根本原因分析(RCA;Root Cause Analysis)を実施し、職員の意識変容に至るような組織的対応が必要です。
お釈迦様は、すべての現象には原因があって、この原因には身(行動)・口(言葉)・意(心)があるとおっしゃいました。行動計画のみならず、意(心)の部分も同様に大切です。院内暴力対応の研修においても、意(心)の変容に至るように、組織として取り組んでいただければ幸いです。
経営の要素には、①戦略・計画・意思決定②組織・人事③業務プロセス④リーダーシップ-があります。リーダーシップは組織に魂を吹き込む役割です。いくら方針や手順を定めても、魂を吹き込まないと役に立ちません。「心」という要素が、一番大切です。
お釈迦様の考えに基づくと、院内暴力対策は、正しい心で(意)、正しく表現し(口)、正しく行動する(身)ことを徹底することが大切だということになります。
■対応マニュアル作成の秘訣
現場力を高めるには、問題解決アプローチに従って考え、実践させることが何よりも大切です。暴力・暴言対応の専門部門があれば、専門部門の判断に委ねることも必要です。
しかし、多くの医療機関では専門部門がなく、事務職員が兼任で対応しているため、現場が判断しなくても、「何を、どうすればよいのか」が分かるように、簡易なマニュアルを作成しないと機能しません。例えば、「暴力・暴言があれば、事務長に連絡して、事務長が説得して応じない場合には、直ちに110番通報する」などのシンプルなマニュアルを作って、誰が読んでも分かることを確認してください。
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