【籔本恭明(弁護士、医学博士、中小企業診断士、MBA、ファイナンシャルプランナー)】
前回は、院内暴力や暴言に対して、組織で取り組む必要性や対応方法について解説しました。今回は、実際の対応時、どのような考えで、どのように取り組むべきか、問題解決アプローチの手順を紹介します。
まず、院内暴力問題を考えるに先立ち、そもそも「問題」に対してどのような考え方で臨むべきか、問題解決アプローチの手順を整理します。この問題解決アプローチのステップを組織でも実践することで、種々の施策に魂が吹き込まれていきます。
一般に、「問題」とは、あるべき姿と現状とのギャップと定義されています。
問題解決の第1段階は「あるべき姿」を設定することです(理想確認)。理想状態が確認されていないと問題が特定できず、従って対策が立てられません。病院全体の理念、目標を踏まえて、院内暴力・暴言に関する方針を確認します。
問題解決の第2段階は、現状を分析し問題を抽出します。あるべき姿と比較した現状とのギャップが「問題」です(問題抽出)。
問題解決の第3段階は、認識された「問題」の本質に迫ることです。本質的問題とは何か、真の原因は何かを突き詰めることです(本質的問題発見)。
問題解決の第4段階は、本質的問題、真の原因に対する対策を立案することです(対策立案)。
問題解決の第5段階は、対策がしっかり実施されているか、進捗状況を確認して励まし合って進めます(組織的行動実施)。
以上の問題解決プロセスが実施された後は、対策を評価して事後に生かすことが、プラン(計画)・ドゥ(実行)・チェック(評価)・アクション(改善)、いわゆるPDCAのマネジメントサイクルの観点から不可欠です。
問題解決の考え方からは、組織全体の理念・目標を踏まえた上で理想確認⇒(現状分析による)問題抽出⇒本質的問題発見⇒対策立案⇒組織的行動実施という流れで考えていきます。
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