「看護必要度」の評価票に組み込まれている現在の各項目が、急性期病院に入院する患者の重症度や状態を評価するのに見合っているかどうかなどを検証するため、厚生労働科学研究班(主任研究員=筒井孝子・国立保健医療科学院統括研究官)が今年度に調査を実施する。看護必要度に関しては、中央社会保険医療協議会(中医協)の「入院医療費等の調査・評価分科会」でも調査を予定している。それぞれの結果は来年春には出そろう見通しで、中医協がこれらを見極めた上で、次の診療報酬改定で現在の仕組みを見直す必要があるかどうかを審議する。
看護必要度は、「重症度・看護必要度」の評価票を使って入院患者の状態を継続的に測定する仕組み。「創傷処置」「血圧測定」「時間尿測定」など「モニタリングおよび処置等」に関する評価(A得点)と、「寝返り」「起き上がり」「座位保持」など「患者の状況等」に関する評価(B得点)を測る。
7対1入院基本料では、「A得点が2点以上かつB得点が3点以上」の重症患者の受け入れ割合が算定要件に組み込まれているが、現在の評価票に対しては、「高得点になりやすい」「認知症の入院患者が適切に評価されていない」などといった指摘がある。
研究班による調査は、DPC病院2群の90病院と共に、7対1から13対1までの一般病棟入院基本料や、専門病棟入院基本料を算定する90病院程度が対象。調査票は11月にも厚労省が発送する。
A得点とB得点の項目ごとに該当患者がどれだけいるかを各病院に聞き、病院のタイプごとに受け入れ状況を比較する。また、「悪性腫瘍剤の内服」などの項目を追加すべきだとの意見もあり、これらの該当患者がどれだけいるかや、不必要な項目がないかどうかも調査する。
一般病棟の看護必要度は、2008年度の診療報酬改定に伴い7対1入院基本料に導入された。当初は、重症患者を入院患者全体の「10%以上」受け入れることを求めていたが、今年度の報酬改定でこの受け入れ割合が「15%以上」に引き上げられた。ただ、専門病棟入院基本料を算定するがん専門病院では10%以上に据え置かれており、研究班では、こうした判断が妥当だったかどうかを見極めるためのデータも集める。【兼松昭夫】
(残り0字 / 全992字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】