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いまさら聞けないDPC(1)-調整係数はなぜ見直すの?
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■調整係数のばらつき、10年度には解消されず
ちんぷんさん 確か、2010年度の診療報酬改定でも、調整係数による「上積み相当」部分の25%を機能評価係数2に置き換えたんじゃなかったかな?
かんぷん博士 まず、調整係数による「上積み相当」部分という呼び方は、「調整分」に改められた。これは、実際には上積みにならないケースがまれにあるためらしい。
それはさておき、機能評価係数2への置き換えは、10年度改定でも確かに行われた。しかし当時は、同じような機能のある病院なら、基礎係数と機能評価係数2の評価もそろえるという最終的な絵姿を欠いたまま、置き換えを進めざるを得なかった。そこで厚生労働省はどうしたかというと、すべてのDPC対象病院の調整係数を一律に同じ割合(図2のY÷Xで計算したλ=0.9777)に圧縮して、その分の「調整分」の財源を、当時新しく導入された機能評価係数2の6項目に移し替えたんだ。
調整係数の見直しの着地点は、10年度の診療報酬改定の後に、中央社会保険医療協議会で何度も検討して、今年1月にようやくまとまった。今年度の診療報酬改定を3か月後に控えた時期だ。だけど、ここで困ったことになった。DPC対象病院への急激な影響をできるだけ抑えて最終的な絵姿に持っていくのなら、何回かの報酬改定で段階的に財源を移し替える必要がある。厚労省は当初、「調整分」の25%ずつを10年度も含めた4回の改定を経て、16年度に置き換えを完了することを想定していた。
しかし、16年度に置き換えを完了するなら、図1のCのような病院は、10年度の時にもっと係数を引き上げておかなければいけなかったし、逆にA病院では、この時の圧縮幅が小さ過ぎた。10年度の報酬改定も1回分の25%にカウントして、そのまま12年度で2回目の50%分を移し替えると、この例のA病院やC病院のように変動が大きい病院では、実質的に2回分の変動が一気に生じることになりかねないことが分かった。
そこで中医協は、10年度の対応を4回のカウントから除外して、12年度の報酬改定から、改めて調整分の25%を機能評価係数2に置き換えを進める形にした。置き換え完了の時期も2年間延長することにした。
要するに、10年度の報酬改定の時には全部の病院の調整係数を一律に圧縮したため、同じような機能を持つ病院間の評価のばらつきが解消されなかった。DPC対象病院への影響を小さくするために、仕切り直さないといけなかったんだ。
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