■大賞
「kanaVo」
kanata株式会社(東京都中央区)
代表取締役 滝内冬夫(たきうち・ふゆお)氏
「病院DXアワード」最終審査の会場に導入先病院の医療法人社団KNI北原国際病院(東京都八王子市)の亀田佳一氏と一番乗りした滝内氏。「あとは、やることをやるだけです」。大賞獲得へ意気込みを見せた。優秀賞5社とステージ上で大賞の発表を待っていた滝内氏は、初代大賞に自社の名前が読み上げられた瞬間、驚いた表情を浮かべた。「驚きが90%」。受賞後のインタビューで、こう語る滝内氏の感情がストレートに現れていた。
こうした豊かな感受性が「kanaVo」を生むきっかけにも。家族の入院で、看護師が看護記録を書くために手袋にメモをしていたのを見て、医療従事者の文書作成業務の大変さを実感した滝内氏。「医師や看護師の文書作成業務の負担を減らすことができないか」と、会話の短時間での要約に着目した。亀田氏は「かゆい所に手が届く製品」とユーザー目線から評価し、大賞受賞を一緒に喜んだ。
今回の「病院DXアワードの大賞」への道のりは長かった。「何度もエントリーをやめようと思った」と本音を漏らす。それを支えてくれたのが同社メンバーや亀田氏をはじめとした「kanaVo」を利用する医療関係者、資金面で支えたエンジェル投資家、そして闘病の末、7歳を目前に天国に旅立った長男・奏向(かなた)さんだ。病室で一緒に戦ってくれた医師や看護師の思いに医療現場への貢献としてお返しできないか。社名「kanata」、製品名「kanaVo」には滝内氏の奏向さんへの思いが込められている。
まず誰に受賞の喜びを伝えたいか-。こう尋ねられると、「今は亡き長男にこの賞は捧げたい」と少し照れくさそうな表情を浮かべ、「この会場には来られなかった社員にもいい報告ができる」と喜んだ。
大賞の受賞は次への一歩。院外の患者と院内の医師や看護師を情報でつなぐ製品開発に視野を広げる。「病院の課題は多岐にわたり、1社で解決できるものではない。今回のアワード企業も含め他社との連携も視野に進めたい」と滝内氏は前を見据える。
▽第1回「病院DXアワード」大賞を受賞した「kanaVo」の記事は以下から
https://www.cbnews.jp/news/entry/20250130153614
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