業界最大の課題は人材不足だ-。こう強調するのは、SOMPOケア代表取締役社長の鷲見隆充氏。厚生労働省が7月に公表した介護職員の必要数の集計によると、2040年での介護職員の不足数は22年度比で約57万人。現時点でも人材不足は介護業界にとって大きな問題として横たわっているが、介護サービス利用者の増加が今後さらに見込まれる中でのこの数字に鷲見氏は、将来の介護業界に不安を抱くと同時に、「われわれが日本の介護を変えるという思いでチャレンジしていきたい」と力強く語る。【渕本稔】
同社は、深刻な人材不足を克服する「未来の介護」モデルへの変革を打ち出した。介護ロボットやICTをうまく活用し、介護の質を高く維持しながら業務オペレーションを最適化することで職員の負担を軽減。少ない人員でも現場が回るような体制を構築する。
ロボットやICT活用など未来を見据える一方で、従来業務という“現実”もしっかり見つめる。介護業務を食事や移動の介助を行う「直接介護」業務と、食事の準備や掃除といった「間接業務」に分けることで効率化を図るという足元での改革も進める。同社は、利用者とのコミュニケーションや課題の解決など、人にしかできない業務に集中する「Qライン」を設置。生産性の向上と共に、より質の高い介護の実践を目指す。6月末時点で、280あるSOMPOケアの介護付きホームのうち、136ホームでQラインの活用が定着しているという。
さまざまな変革で、30年度には22年度比で1施設当たり4-6人少ないオペレーション体制の実現を目指す鷲見氏。「今より休暇を取得しやすく、働きがいも感じられる。介護業界のそんな未来を切り開いていきたい」と前を見据える。
鷲見氏は7月中旬、CBnewsなど報道各社のインビューに答えた。
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