政府は22日、医療や介護など社会保障の改革工程を閣議決定した。2024年度に実施する取り組みとして、原案の段階では、介護保険サービスの利用者負担を2割にする範囲の拡大を盛り込んでいたが、28年度までに検討する取り組みに修正した。【兼松昭夫】
武見敬三厚生労働相と鈴木俊一財務相が20日に行った予算折衝で、範囲の拡大の先送りに合意したことを踏まえた対応で、第10期の介護保険事業計画(27年度から)が始まる前に結論を得るとしている。
24年度から取り組む「こども・子育て支援加速化プラン」(加速化プラン)の財源の一部にするため、政府は28年度までの社会保障改革で、計1.1兆円程度(公費ベース)の歳出を抑制する方針。
改革工程では、医療・介護制度の改革のメニューを
▽24年度に実施する取り組み
▽加速化プランが完了する28年度までに検討する取り組み
▽40 年ごろを見据えた中長期的な取り組み
-ごとに示した。
24年度の取り組としては、診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬の同時改定や入院時の食費基準の見直しのほか、介護の生産性・質の向上などを盛り込んだ。
診療報酬などの同時改定では、医療・介護・障害福祉の現場で働く人たちの処遇改善を着実に行う一方、適正化・効率化を進めるなどめりはりのある対応を行う。
また、介護の生産性と質の向上では、介護ロボットやICT(情報通信技術)機器の導入を進めて介護付き有料老人ホームの人員配置基準を特例的に柔軟な運用にするほか、介護サービス事業者の経営の協働化・大規模化を進める。
28年度までの検討課題には、医療・介護保険の負担に金融資産の保有状況を反映させるなど「応能負担」の仕組みの強化や、医療DX(デジタルトランスフォーメーション)による効率化・質の向上などを挙げた。
政府の「全世代型社会保障構築本部」と「こども政策推進会議」がこの日開いた合同会議で岸田文雄首相は、社会保障の改革について、「少子化対策の財源確保のためだけでなく、社会保障を持続可能なものとするため全ての世代が負担能力に応じて公平に支え合う仕組みを構築するとの考えに基づくものだ」と述べた。
その上で、そうした考え方に沿って取り組むよう関係閣僚に指示した。
■「こども未来戦略」も決定、出産費用の保険適用など
政府は22日、「こども未来戦略」も閣議決定した。医療関連では、出産に伴う経済的な負担軽減のため、出産費用(正常分娩)への保険適用の導入を、26 年度をめどに検討する。
(残り0字 / 全1030字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】