中央社会保険医療協議会の支払側委員は1日の総会で、「診療録管理体制加算」の算定に当たり許可病床400床以上の医療機関に専任の医療情報システム安全管理責任者の配置を求めている要件の対象を400床未満の医療機関にも広げるべきだと主張した。医療法に基づく立入検査の要綱の見直しにより同責任者の配置を全ての医療機関に求めていることを踏まえた発言だが、診療側の委員は「現実離れしている」などと反対姿勢を示した。【松村秀士】
2022年度の診療報酬改定では、診療録管理体制加算の施設基準を見直し、許可病床400床以上の医療機関に専任の医療情報システム安全管理責任者の配置と、情報セキュリティー研修の年1回程度以上の開催を求めた。
厚生労働省は、医療法の規定に基づく立入検査の要綱にサイバーセキュリティー確保のための取り組みを新たに設け、同責任者の配置を全ての医療機関に求めている。
厚労省が実施した調査では、有効回答した4,811カ所の医療機関のうち、1月時点で同責任者を配置していた医療機関の割合は、「200-299床」で76%、「300-399床」が83%、「400-499床」は92%、「500床以上」は97%と、病院の規模が大きくなるほど増加することが分かった。
こうした状況を踏まえて厚労省は1日の総会で、診療報酬上の要件での同責任者の取り扱いなどを論点に挙げた。
議論では、松本真人委員(健康保険組合連合会理事)が厚労省の調査結果に触れ、「医療機関のサイバーセキュリティー対策は十分とは言えない」と指摘した。その上で、立入検査の要綱の見直しを踏まえ、診療録管理体制加算の施設基準を24年度の報酬改定で改めて見直すよう要望。専任の同責任者の配置を求める対象施設を「中小規模の医療機関にも拡大すべきだ」と主張した。
これに対して長島公之委員(日本医師会常任理事)は、直ちに全ての医療機関が同責任者を配置できるとは限らず「現実離れしている」とし、対象施設の拡大に反対した。
■電子処方箋への評価でも賛否
厚労省は、電子処方箋の普及に向けた診療報酬上の対応も論点に挙げたが、新たな評価を求める診療側と、「電子処方箋を使用した患者が負担増になる加算は新設すべきではない」とする支払側で意見が分かれた。
(残り0字 / 全937字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】
【関連キーワード】