厚生労働省は27日、科学的介護情報システム(LIFE)に関連する加算について2024年度の介護報酬改定で対象となるサービスの範囲を広げない方針案を、社会保障審議会の介護給付費分科会に示した。一方、現場の負担を軽減するためにLIFEへの入力項目の定義の明確化や、複数の加算で重複している項目の選択肢の統一化といった見直し案も提示し、いずれも大筋で合意を得た。【松村秀士】
LIFEへのデータ提出などを要件とする加算は、21年度の報酬改定で作られた。加算の対象となるのは、介護老人福祉施設や介護老人保健施設、通所介護、グループホーム、小規模多機能型居宅介護といったサービスだが、居宅介護支援や訪問介護などは対象外とされた。
ただ、同分科会が20年12月にまとめた21年度改定に関する審議報告書には、加算の対象外の訪問系サービスなどについてLIFEの活用を通じた質の評価を今後検討していく必要があると明記。これを踏まえて、厚労省がモデル事業などを進めてきた。
同分科会ではこれまで、訪問看護への対象の拡大を前向きに検討すべきだとの意見が出ていた一方で、「フィードバックへの対策が今後必要となっている状況であり、現時点で対象となるサービスの種類を広げることには反対」との慎重論も複数あった。
厚労省は27日の会合で、21年度報酬改定の効果検証や調査研究に係る調査の結果を示した。それによると、LIFEを試行的に活用した訪問系サービスや居宅介護支援事業所(125カ所)のうち、「LIFEの利用が介護の質向上に寄与する」と回答したのは半数程度だった。また、訪問系サービスや居宅介護支援へのLIFEの導入について、統一した指標の活用によるケアの質の向上を期待する声もあったが、サービスに適した制度設計や項目を検討すべきだとの指摘もあった。
こうした状況を踏まえ、厚労省は24年度の報酬改定ではLIFE関連加算の対象サービスを拡大しない方針案を提示。また、現行では対象となっていないサービスに適した評価の項目などを引き続き検討する対応案も示した。
■データ提出頻度を統一化へ
厚労省案に異論は出なかったが、
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