医療と介護の連携を強化する観点から、厚生労働省は、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)と介護老人保健施設(老健)、介護医療院に対し、1年間の経過措置を設けた上で協力医療機関を定めることを義務化する案を、16日に開かれた社会保障審議会・介護給付費分科会で示した。その際の医療機関の要件として患者の緊急時に原則入院できる体制を確保していることなどを挙げたが、委員からは、地域によっては医療資源が乏しく実現は困難だとする指摘が相次いだ。
高齢者施設においては、現在、入所者の病状の急変時などに対応できるよう、運営基準においてあらかじめ協力病院を定めることになっている。しかし協力医療機関の指定を明記しているにも関わらず、実際にはなかなか機能していないといった課題も指摘されている。
厚労省はこうした状況を踏まえ、協力医療機関を定めることを義務化することを提案した。具体的には、連携先の医療機関には▽入所者の急変時に医師または看護職員が夜間や休日も含め相談対応ができる▽診療の求めを受け、夜間休日を含め診療ができる▽施設での療養を行う患者が緊急時に原則入院できる-といった体制を確保していることを求め、その際、複数の医療機関で要件を満たすことも可能とする方向性も示した。
これに対し委員からは、医療と介護の連携強化は重要だとしながらも、「地域によっては困難」だという声が次々に上がった。 古谷忠之委員(全国老人福祉施設協議会参与)は、エリアによって医療機関の数や種類はさまざまであることから、「全ての施設で協定を結ぶことは実現不可能」だと指摘。その上で、義務化の要件にある内容が追加されることで、現在結んでいる協力病院との契約が継続できなくなる可能性もあるとし、
(残り234字 / 全960字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】