中央社会保険医療協議会は15日の総会で、2024年度の診療報酬改定に向けて働き方改革の推進をテーマに議論し、勤務医の負担軽減や処遇改善の体制整備を評価する「地域医療体制確保加算」の廃止を支払側の委員が主張した。この加算を算定している医療機関に勤務する医師のうち、長時間労働の医師の割合が増えているなどとする厚生労働省のデータを踏まえた発言だが、診療側は「廃止はあり得ない」などと強く反発した。【松村秀士】
厚労省の調査によると、この加算を22年の時点で算定していた1,037病院の常勤医師のうち、時間外労働が「月80時間(年960時間相当)以上」に該当する長時間労働の医師の割合は、20年が5.18%、21年が5.60%、22年が5.76%で、この間に上昇していた。「月155時間(年1,860時間相当)以上」の医師も、人数は少ないものの割合が上昇していた。
また、全体の常勤医師(12万7,982人)のうち、22年に時間外労働が「月80時間(年960時間相当)以上」の医師は7,371人(5.76%)、「月155時間(年1,860時間相当)以上」では280人(0.22%)いることも明らかになった。
議論では松本真人委員(健康保険組合連合会理事)が、地域医療体制確保加算は勤務医の過酷な労働を軽減することにより医療の質が高まるという考え方に基づき、時間外労働を年1,860時間以内に抑えることを目標に設けられたと指摘した。
その上で、厚労省の調査結果を踏まえると加算の目的と効果の両方の観点から、従来のまま評価を継続する必要性は乏しいと主張。「廃止するのが妥当と言わざるを得ない」と述べた。
■継続なら実効的な要件や期限の設定を要望-支払側
これに対して日本医師会常任理事の長島公之委員は、
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