【株式会社メディチュア 代表取締役 渡辺優】
■コロナ禍で求められる療養環境の充実
2022年度診療報酬改定は、感染対策が最重要項目だろう。先日の疑義解釈(その1)で、感染対策向上加算の加算1は新型コロナウイルス感染症に係る重点医療機関、加算2は協力医療機関、加算3・外来感染対策向上加算は診療・検査医療機関が該当することが明確となったことで、届出はかなり厳しいことになりそうだ。すでに届け出を想定して準備していた病院も少なくなかったことに加え、疑義解釈が開示されたのが3月31日の遅い時間だったため、せめて分かっているところだけでも疑義解釈を早めに出してくれればという恨み節が聞かれた。
この2年間、感染対策を意識し個室などの療養環境の整備を進めてきた施設は多い。補助金などの財政的支援があったことも大きいだろう。
個室を増やすことは感染対策に加え、稼働率向上や患者満足度の向上、室料差額による収入増など、経営面でのプラスも期待できる。全国の施設において、直近、個室の7割程度で室料差額を徴収している=グラフ1=。2人室や3・4人室は相対的に室料差額の徴収割合は低い。1年前の「コロナ禍が個室化を促進する(https://www.cbnews.jp/news/entry/20210608160254)」において、個室が増え2人室が減っていることを述べた。2人室はプライバシーなどが中途半端で患者から人気がないという話もよく聞く。実際、室料差額の徴収金額の分布を見ると、個室は1万円以上が2割以上、5,000円以上で6割を占めているのに対し、2人室で5,000円以上は2割に満たない。個室で3,000円未満は16%と少ない一方で、2人室は58%と多い=グラフ2=。このような金額設定にしないと、患者から選んでもらえない実態があるのだろう。
グラフ1 室料差額 病室タイプ別徴収割合(病床数比率)
各地方厚生局 保険外併用療養費医療機関名簿(関東信越厚生局:22年2月1日現在、その他厚生局:22年3月1日現在)を基に作成
グラフ2 室料差額 病室タイプ別徴収金額分布
各地方厚生局 保険外併用療養費医療機関名簿(関東信越厚生局:22年2月1日現在、その他厚生局:22年3月1日現在)を基に作成
グラフ3 室料差額 病室タイプ別徴収金額分布
各地方厚生局 保険外併用療養費医療機関名簿(関東信越厚生局:22年2月1日現在、その他厚生局:22年3月1日現在)を基に作成
個室や2人室などの徴収金額について細かく分布を見ると、個室では1万1,000円台や1万6,000円台も目立っている=グラフ3=。また一部には3万円を超える金額が設定されていることも分かる。
■室料差額に見られる地域差
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次回配信は4月20日5:00を予定しています
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