【国際医療福祉大学大学院 医療福祉経営専攻 教授 石山麗子】
診療報酬改定は、2021年4月から議論が重ねられ、14日に厚生労働大臣から中央社会保険医療協議会の小塩隆士会長に対して諮問書1)が提出された。答申は2月上旬の見込みだ。そうした状況において現時点で見えているのは、改定率は全体でマイナス0.94%、改定の基本的視点と具体的方向性として、従前の流れを継承しつつ、地域全体での医療機能の分化・強化、連携等の対応、デジタル化等を踏まえ、次の4つの柱が示されたことだ。
(1)新型コロナウイルス感染症等にも対応できる効率的・効果的で質の高い医療提供体制の構築
(2)安心・安全で質の高い医療の実現のための医師等の働き方改革等の推進
(3)患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現
(4)効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上
近年、医療介護間連携は促進され、両者の距離はどんどん縮まっている。そのため介護報酬は、診療報酬の影響を受けやすくなっている。つまり、診療報酬の動向を知ることは、介護保険制度の動向を予想することにつながる。
制度改正における医療と介護の関係とは、どのようなものだろうか。22年度診療報酬改定の諮問書および別紙の記載のうち、「介護」という単語の出現頻度は7回。これに対して社会保障審議会・介護給付費分科会の「令和3年度介護報酬改定に関する審議報告(20年12月23日)」で使用された「医療」という単語の出現頻度は130回だった。これら2つの文書は必ずしも同列に取り扱えるものではないが、医療と介護の関係をうかがい知る参考になる。改正の大きな流れは医療にあり、それに介護が追随する。
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