事務部の各業務をジョブローテーションしながら、病院経営ができるプロ職員の育成に取り組む熊本県上益城郡甲佐町の谷田病院。旗振り役を担う藤井将志事務部長は9月9日のオンラインセミナー(CBホールディングス主催)で、人づくりの方法を紹介した。新型コロナ禍での上益城郡医師会の診療所開設にも大きく貢献するなど、今や活躍の場は院内外を問わず広がっている。人づくりは職員の意識変化によるところも大きい。セミナーで藤井事務部長は、自身が受けた職員からの反発など体験談も明かした。参加者は、どうすれば職員とのあつれきを抑えながら、職員の意識を変えられるかについて探った。【川畑悟史】
受付、請求業務、庶務経理、IT、広報、リクルート、総務…。谷田病院の事務部職員が一人で経験するジョブローテーションの業務内容だ。2019年から事務部を「医事課」と「総務課」に分けており、職員は、それぞれの課を3-5年かけて回っていく。ジョブローテーションの期間は最長10年。一つの業務を把握した段階で次の業務に移るため、半年ぐらいで各業務のローテーションができれば最短6年で、経営支援ができるほどに成長するという。
セミナー講演資料を基に作成
「事務をする職員」というイメージが残る事務職員。こうしたイメージを拭うために、谷田病院は事務部に勤務する職員全員を「医療マネジメント職」と呼ぶ。また、事務長は銀行など外部から来るケースが多く、事務職員の最終ゴールが見えづらい。そこで、藤井事務部長は「事務部、全員事務長宣言!」というキャッチコピーを掲げ、職員にゴールのイメージを示している。
セミナー講演資料を基に作成
■ナレッジマネジメントを人材育成に
藤井事務部長の人づくりのベースにあるのが「ナレッジマネジメント」と呼ばれる経営理論。知識を共有して活用することで、新たな知識を創造しながら経営を実践するというもの。これを谷田病院の医療マネジメント職に当てはめながら、人材育成に取り組んでいる。
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