5日の社会保障審議会・介護給付費分科会は、地域包括ケアシステムの推進について「認知症への対応力強化」「看取りへの対応」「地域の特性に応じたサービスの確保」の3テーマを議論した。「認知症専門ケア加算」の対象を訪問系サービスに広げる案や、「無資格者」の認知症基礎研修受講を義務付ける方針などが固まる見通し。【齋藤栄子】
認知症への対応力強化についてでは、施設系サービス、グループホームを対象に、認知症介護について一定の経験を有し、自治体が実施する認知症ケアに関する専門研修の修了者を配置する事業所を評価する認知症専門ケア加算がある。2019年6月に取りまとめられた「認知症施策推進大綱」では、「在宅の中重度の要介護者を含め、認知症への対応力を向上するための取組を推進する」とされていることを踏まえ、訪問系サービスも加算の対象に加える方針を厚生労働省が示した。また、介護に直接携わる職員のうち、無資格者の認知症基礎研修受講を義務付ける考えも提案され、いずれも委員から大筋で了承された。
看取りでは、各サービスでの対応を充実させるために、看取り、ターミナルケアに関する基本報酬や加算の要件に「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」等の内容に沿った取り組みを行うことを明示する方針を厚労省が示したが、「小規模多機能型居宅介護」で6割以上の職員が看取りに対する知識がないなどの調査結果もある=資料1=。委員からは、方針には賛成するが職員への研修とセットで検討が必要(今井準幸・民間介護事業推進委員会代表委員)などの意見が出た。
資料1
厚生労働省ホームページより(https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000691738.pdf)※以下も同様
地域の特性に応じたサービスの確保では、(1)看護職員の確保が難しい中山間地の事例などから、常勤換算で2.5人以上としている訪問看護ステーション(訪看ST)の看護職員配置の人員基準を「従うべき基準」から「参酌すべき基準」へ見直す=資料2=(2)特別養護老人ホームの報酬設定を定員規模別(30人、31-50人、51-80人)にする-との2案について、厚労省が意見を求めた。いずれも20年度の地方分権改革に関する提案募集において出たもの。
(残り529字 / 全1497字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】