【吉備国際大学 保健医療福祉学部 作業療法学科 学科長・教授 京極真】
Q 過反応しやすいスタッフに困っています。例えば、患者さんのご家族からちょっとした問い合わせがあると、「クレームがあった。どうしよう」等と言って、ネガティブに過剰反応します。1人で不安になり、気持ちが落ち込む程度ならよいのですが、周囲を巻き込むので、他のスタッフが気疲れして人間関係の信念対立が頻発します。信念対立が起こるのはまずいし、過反応するスタッフがいる場合、管理職はどう対応したらいいでしょうか。
問題となる信念対立がまずいかどうかを見極めた上で、(1)事実に根差す(2)優先順位を明確にする(3)解釈と結果のズレに気付いてもらう、というようにしたらよいです。
■まずい信念対立とは?
まずお伝えしたいことは、信念対立が起こること自体は問題ではない、ということです。「信念対立が起こるのはまずい」と考えていると、信念対立を引き起こす人を排除するような力動が生まれやすいです。その結果、排他的な組織になってしまい、スタッフはますます気疲れします。信念対立は世界観の確執であり、人それぞれ異なる世界観の中で生きていますから、常に信念対立は起こり得るものです。信念対立が起こること自体は避け難く、それそのものの存在が問題というわけではないです。まず、この認識を改める必要があります。
では、どのような信念対立がまずいのでしょうか。
問題になる信念対立は、「適切に管理できていない」「日々の生活に支障が生じる」「頻繁に発生している」「重度のトラブルである」「結果に望ましくない影響を与える」「信頼関係が崩壊する」「エスカレーションしていく」等の場合です。このようなケースに該当する信念対立は、建設的に作用せず、むしろ破壊的に作用します。破壊的な信念対立は、管理職とスタッフの信頼関係を低下させ、スタッフの士気を奪い、ストレスの増大をもたらし、チームワークを機能不全に追い込み、実践の質を低下させます。なので、こうしたケースに当たる信念対立はまずいと認識しておくといいです。
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