【あおば社会保険労務士法人代表社員 藤原英理】
「また職員が辞めちゃうのよ」「募集を工夫してみても、なかなか人が来ないのよね。応募すら少なくて」など、介護事業所のご担当者様から日々いただくご相談のうち、多くを占める「人」の問題。特に採用・定着の問題には、常に頭を悩まされていらっしゃるのではないでしょうか。
処遇改善加算等を使って賃金を改善し、処遇も悪くないはずなのに、求人への応募が少ない。苦労して採用に至っても、すぐに辞めてしまう。どうしたらいいのかと、よくご相談をお受けします。新型コロナウイルス感染症による影響の長期化も予想される今こそ、「職場環境の改善」を真剣に考えるタイミングと言えるでしょう。
職員が気持ちよく働いていらっしゃる職場を見てみると、いじめや嫌がらせがないことはもちろん、日常的な労務の管理状況が良好で、休暇等も適宜取りやすく、互いに助け合う雰囲気がある職場と拝察されます。
やはり、そのような職場は職員の定着率が圧倒的に高いものです。職員が定着していれば、採用コストが抑えられ、職員にその分利益を還元でき、さらに定着率が上がるという好循環が生まれます。
職場でのいじめや嫌がらせは介護事業所に限らず、一般の会社でも、社会問題となっています。こうした状況に鑑み、今年の6月に、労働施策総合推進法(通称「パワハラ防止法」)が改正されました。これによって、職場のパワーハラスメント防止措置は、事業主の責務となりました(今年の6月施行の対象は大企業のみ。中小企業は2022年3月までは努力義務)。法律の改正内容や法改正に伴って発出された指針の内容を理解し、実行することで職場環境の改善につなげていきましょう。
(残り2605字 / 全3313字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】