【株式会社メディチュア 代表取締役 渡辺優】
■全国の病院が直面している危機に何ができるか
「データで読み解く病院経営」と題し4年近く続けている本連載であるが、新型コロナウイルス感染症による医療環境の変化は、データ分析という自分の得意な切り口で述べることが難しい。得意としているデータ分析は、病床機能報告やDPC公開データなど各種統計・オープンデータの分析や、レセプト、DPCデータなどの院内データ分析である。特に、人口動態等と絡めた病院経営環境の変化などの分析を得意としている。これらの分析は、自虐的に言えば、「不要不急の分析」である。
とはいえ、何かしら参考になる分析を提供したい。そこで、これまでとはかなり異なるデータ分析の結果から、病院経営の環境の厳しさについて述べてみる。
■「病院経営」に関するつぶやきが増えている
客観的に環境変化を捉えるため、直近1年間の「Twitter」でのつぶやき状況を調べた。まず、「病院経営」の文言を含むツイート件数の推移を見た=グラフ1=。
グラフ1 Twitterにおける「病院経営」を含むツイート件数推移
Twitter独自分析(以降も同様)
※ 国内1例目は厚生労働省 報道発表資料 新型コロナウイルスに関連した肺炎の患者の発生について(1例目)https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08906.htmlの公表日
青線の日次推移は、2020年1月くらいまで日によって20件から40件程度のばらつきがある。オレンジ線の30日移動平均で見ると、この1月あたりまではおおよそ20件強で安定的に推移していた。
しかし、1月中旬から下旬にかけて件数が伸びだした。3月に入ると週平均(黄色の7日移動平均)が40件前後まで増え、4月7日の緊急事態宣言あたりから、100件を超える日も現れた。この件数推移だけで、病院経営が厳しくなっていると断言することはできない。なぜなら、病院経営にポジティブなことをつぶやいている可能性もあるためだ。
そこで次に、ツイートの内容を分析した=グラフ2=。内容がポジティブなものはプラスに、ネガティブなものはマイナスに、+1から-1までの値で評価される。2月までは日々のばらつきはあるものの、平均するとややネガティブかほぼニュートラルくらいであった。これが2月以降、徐々にネガティブ寄りになってきている。マイナスの値が大きくなっていることから、より厳しい内容のつぶやきが増えている可能性が高い。
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次回配信は5月13日5:00を予定しています
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