【千葉大学医学部附属病院 副病院長、病院経営管理学研究センター長、ちば医経塾塾長 井上貴裕】
急性期入院医療では、その状態に相応しい患者が入院することが求められ、現行制度では、「重症度、医療・看護必要度」(以下、看護必要度)を中心に、患者状態の評価が行われている。一般病棟でも入院料によって基準は異なるが、急性期一般入院基本料では入院料7を除き、何らかのハードルが設定されている。一方で、救命救急入院料1および3、さらに脳卒中ケアユニット入院医療管理料では、2018年度診療報酬改定でそれぞれ看護必要度について、特定集中治療室管理料用と一般病棟用を用いた評価が義務付けられた。ただし、評価が義務付けられただけであり、入室について診療報酬におけるハードルは設けられていない(地域によって審査の事情が異なる可能性はある)。
救命救急入院料1および3は、救命救急センターのみが届け出が可能であり、医師配置の要件に加え、常時4対1の看護師配置であり、手厚い体制が求められるものの、非常に高い点数設定となっている=表=。仮に、一般病棟で管理できるような患者を救命救急入院料1および3の治療室に入室させれば、病院としては大幅な増収になるわけだが、医療費の効率的な利用という点では疑問も残る。
一方、脳卒中ケアユニット入院医療管理料は、脳神経内科あるいは脳神経外科で原則として5年以上の経験を有する専任の医師が常時院内におり、さらに看護師配置が3対1である割には、救命救急入院料1および3ほどの高い点数設定ではない。脳卒中患者を8割以上入室させれば、そのグレードは問われておらず、発症から14日まで算定が可能だとすれば、一般病棟と比べれば高い点数である。とはいえ、届け出病院は18年7月1日時点で163病院と脳卒中診療の拠点病院以外は困難であるし、何しろ救命救急入院料1および3の約半分の点数である。もしも軽症脳卒中患者をSCUではなく、救命救急入院料1および3のユニットに入室させれば、大幅に医療費が増大することになる。
今回は、入院医療等の調査・評価分科会でも議論されている救命救急入院料1および3の実態に迫り、今後の在り方について言及する。
救命救急入院料等の主な施設基準(クリックで拡大)
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次回配信は11月11日5:00を予定しています
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