【医療法人嘉健会 思温病院 理事長 狭間研至】
■体制を整える中で見えてきた成果
病院の運営などやったことのない私が、決して多いとは言えない病院・外来・在宅での臨床経験と、実家の薬局運営の経験を頼りに、経営母体が変わった病院改革に取り組んできた経緯を、過去3回の連載ではお話ししてきました。いろいろと本を読んだり、講演会やセミナーに参加したりして、経営やマネジメントについて勉強しようとはしてきましたが、系統的な教育を経営大学院で受けたわけでもなく、見よう見まねと直感を総動員した、まさに「無手勝流」とも言うべき取り組みでした。
週に一度の外来診療と病棟業務のフォローアップを手始めに、病院との関わりを始めながら、勤務日を増やし、現場での活動比率を高めながら、あるべき姿を考え、走りながら整えていくという過程は、ある意味ではエキサイティングなことであり、このようなチャンスをいただけたことも本当にありがたいことだと思い、取り組んでまいりました。
本格的に取り組み始めて3年が経った頃には、少しずつ方向性も定まり、成果も見え始めました。
■小さな進化と変化を喜び合う
まず初めは、人的な問題でした。一般の企業運営には、ヒト・モノ・カネが大切だといわれますが、病院も全く同じです。いいスタッフがいることは、組織運営の必須です。ヒトは力であり、組織の財産でもあります。当院でラッキーだったのは、組織の経営母体が変わるという変化があっても残ってくれていたスタッフの多くが、真面目に患者のことを考えて業務に取り組んでいたことです。それらのスタッフが、環境が少しずつ整っていく中で、自主的・自発的な活動を行うようになってくれました。
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