【千葉大学医学部附属病院 副病院長、病院経営管理学研究センター長、ちば医経塾塾長 井上貴裕】
新天皇の即位に伴い、2019年のゴールデンウイークは、4月27日から5月6日まで10連休とする方針が具体化しそうだ※。
休日が増えることは一個人としては歓迎すべきことだし、景気浮揚効果も期待できるかもしれない。しかしながら、病院経営を圧迫することは事実であり、5月の財務状況は惨憺たるものとなるだろう。
※政府は皇太子さまが即位される19年5月1日と即位を国内外に示す「即位礼正殿の儀」が行われる19年10月22日を1年限りの祝日とする方針を表明している。
祝日法は「前日と翌日が祝日の日は、休日とする」と定めていることから、4月29日(昭和の日)と5月1日、同日と5月3日(憲法記念日)にそれぞれ挟まれる4月30日と5月2日についても、同法の規定で休日となり、4月27日から5月6日までの10連休が実現する予定。政府はこの13日にも関連法案を閣議決定し、今国会での成立を目指す。
グラフ1、2を見ると、大型連休がある5月と9月の病床稼働率は低い傾向にある。特にハッピーマンデーがある週は、新入院患者数も激減する。グラフ3は、ある病院の曜日別の手術1件当たりの外保連手術指数と手術件数で、月曜日と火曜日に手術1件当たり外保連手術指数が高くなり、大手術が組まれる傾向がある。マンパワーを考慮すれば、週の初めに大きな手術を実施し、週末に向けて局所麻酔などの比較的小さい手術を実施するのが一般的で、合理的ともいえる。祝日は外来も閉じるし、手術室も緊急を除いて予定枠が組まれることはない。だからといって固定費である人件費が減少するわけではないため、財務状況が悪化するのはやむを得ない。医療従事者の働き方改革が叫ばれている今日、きちんと休みを取ることが求められており、祝日にフル稼働という話にはなりにくい。
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次回配信は11月26日5:00の予定です
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