【医療法人嘉健会 思温病院 理事長 狭間研至】
■体制を整えながら、地域における当院の役割を考える
当院の運営母体が変更されてから1年余り。病棟の再編、改装、在宅訪問診療の開始など、幾つかの枠組みを変更しました。病院の体制を整えつつ、当院はどういった役割を果たすべきかについて考えていきました。前回も触れたように、(1)地域の患者の外来および救急受診ルート(2)地域の急性期病院から自宅や介護施設への退院をつなぐというルート(3)自宅や介護施設で療養されている方が体調を崩した時に、すぐに受け入れて医療的処置を行うというルートの、患者の3つの流れを考えていきました。
そして、地域の方や在宅療養されている方が開業医や訪問診療医からの紹介で当院に入院された時に、検査で大きな病気が見つかれば急性期病院に紹介させていただけたり、自宅から急性期病院で治療を受けたものの、ADLや認知機能の低下から自宅への退院は難しい方に介護施設への入所をアレンジさせていただいたり、はたまた、訪問診療医をご紹介できたりと、3つのルートによって、当院が「地域包括ケアシステム」におけるキーとなるポジションを占められるのではないかと考えるようになりました。
■「十三型病院」というキーワード
こういったイメージを簡潔・的確に伝えるキーワードがあれば、自分自身はもとより、スタッフにも分かりやすく伝えられるのではないかと頭をひねりました。
まず、頭に浮かんだのは「ハブ病院」という言葉です。当院を車輪のスポークが集まるハブとして、さまざまな医療・介護施設をつなぐというのは、イメージとしては合うのですが、「ハブ」というともっと近代的で、おしゃれな(?)感じがするもので、なんとなく違和感が拭えませんでした。地域に根差した病院として、敷居が低く、受診しやすく、ささいなことでも相談しやすいということと共に、必要があれば、「超急性期病院」にきちんとつないであげられるということも大切です。
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