【医療法人社団恵仁会なぎ辻病院 理事長 小森直之】
■入院患者全員に同時配膳する負担の大きさ
病院給食のあり方が大きく変わらなければならない時代になっています。その理由は、国が働き方改革を推し進めているからです。
今の病院給食は、時代の流れに取り残された感があります。食品衛生法が変わりゆく中にあって、医療法ではないが、診療報酬上のルールで適時適温が求められ、すべての病棟へ同時刻に配膳しなければ、適時調査で指摘されます。すなわち、何人もの職員が同時に働かなければならず、採算を取ることをより困難にしています。率直に申し上げて、合理的ではない制度といえるでしょう。
在院日数が2週間程度の入院患者さんは、一体入院中に何回食事をされるのでしょうか。常食の経口摂取が可能な患者さんは、短期間に退院することがほとんどです。また検食※にも疑問があります。患者さんの口に入る30分以上前に検食を行っていることに誰も疑問がわかないのかなどと考えてしまいます。
※患者に提供する食事について、患者の治療方針、栄養的観点からその量や質が適当か、食品衛生の視点から衛生的に取り扱われているかなどを調べる。医師、管理栄養士または栄養士が毎食実施し、その結果を検食簿に記録する。
■「職員のために」を一番に考えていく必要がある
当院が給食システムを真剣に考えるようになったのには、きっかけがありました。火災には至らなかったものの、厨房で大鍋の底を空だきしてしまうことが2度も起こり、今後の対応を思案していたところ、病院職員の働き方改革が持ち上がりました。
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