【株式会社CBパートナーズ・代表取締役 井上陽平】
医療・介護・福祉分野のM&Aは、ほかの業界と同じように、非常に重要な事業展開の手段と考えられています。M&Aの目的自体が自社の早期の利益獲得や収益改善、ノウハウの吸収に直結するからです。
そのため、特に調剤薬局・介護業界では、ニュースで知ったり、近隣の薬局や介護施設の経営母体がいつの間にか変わっているのを目にしたりして、M&Aが昨今、活発なことを肌で感じている人が増えているのではないでしょうか。
この春、診療報酬・介護報酬のダブル改定を経て、2018年度は調剤薬局・介護業界にとって大きな節目となります。年々強くなる逆風が業界全体に吹き、それによって譲渡側(売り手)の事業自体の評価が年を追うごとに下がり、譲受側(買い手)にとっての“うま味”が減少してしまいます。そのため、「評価やうま味がこれ以上減る前に」と、調剤薬局・介護業界でM&Aが活発化しているといえます。
過去には、例えば調剤報酬改定の前後で市場評価に1億円の差が出た法人もありました。だからこそ、薬局や介護施設の譲渡を焦って検討する経営者からの相談が多く寄せられますが、忘れてはならないのは、「M&Aは必ずしも成功が約束されたものではなく、失敗は少なからず存在し、思わぬところで失敗してしまうケースも多い」ということです。
また、ひと言で「失敗」と言ってもさまざまなことがありますが、私たちは、薬局や介護施設のM&Aでの失敗の理由は、主に以下のようなものだと考えています。
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