■厳しさを増す療養病棟の経営環境
診療報酬改定のたびに、要件の厳格化などにより病棟機能の再編や患者確保策を講じねばならない一般病棟などに比べ、療養病棟は病床利用率が維持できていれば、相対的に病院経営環境は安定していると考えられてきた。医療法人の経常利益率を比べると、療養型病院は相対的に優位な経営環境にあったことがうかがえる=グラフ1=。
グラフ1 2015年度病院種類別の経常利益率比較
厚生労働省医政局委託医療施設経営安定化推進事業「平成27年度病院経営管理指標」を基に作成
しかしながら、経常利益率の推移を見れば、以前ほどの余裕がなくなっているのも事実だ=グラフ2=。このような病院経営環境の悪化の理由としては、診療報酬改定による医療区分2・3の患者割合の厳格化や、医療区分の評価自体の厳格化、在宅復帰への誘導などが挙げられる。また、ほかには病院職員の確保難による人件費の上昇や、介護系施設の充実などによる患者確保難なども考えられる。全国の病床利用率の推移を見ると、実際に2010年度をピークに低下し続けている=グラフ3=。25年に向けて団塊の世代が後期高齢者に突入しているフェーズであるにもかかわらず、病床利用率が減少しているのは、療養病床の経営環境が厳しくなっていることを示す一端と言える。
グラフ2 療養病院の経常利益率推移
厚生労働省医政局委託医療施設経営安定化推進事業「平成27年度病院経営管理指標」を基に作成
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次回配信は5月23日5:00の予定です
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