【千葉大学医学部附属病院 副病院長、病院経営管理学研究センター長 井上貴裕】
一般病院の業績悪化が止まらない。2018年度診療報酬改定で病院機能によっては一息つけた所もあるかもしれないが、定期昇給や消費増税などを考えると、楽観視できない病院がほとんどだろう。
開設主体別に見ると、特に業績が悪いのが公立病院(自治体病院)で、その損益差額は悲惨なものだ。個人や医療法人などの民間病院が黒字なのに対し、公立病院の赤字幅は半端なものではなく、補助金の繰り入れなくして事業が成り立たない状況を示している。ただ、この傾向は最近始まったことではなく、以前から変わらない。
一般病院全体では黒字基調であった2012年度(平成24年度)ですら、公立病院の損益差額は大幅なマイナスで、そこから悪化の一途をたどっている=グラフ1=。もちろん病院は政策医療を担っていたり、地域で不足する不可欠な役割を果たしたりしていることも想定され、単純に赤字だから悪いという烙印を押すことはできない。ただ、血税が投入されているのだから、その検証は不可欠だろう。
今回は、公立病院はなぜ赤字なのか、今後の医療政策でどう扱っていくべきか、そして病院として改善のために何ができるかを考えていく。
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次回配信は5月21日5:00の予定です
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