【千葉大学医学部附属病院 副病院長・病院長企画室長・特任教授 井上貴裕】
2018年度診療報酬改定は、DPC/PDPSの暫定調整係数が廃止され、機能評価係数IIへの置き換えが終わるという重要な局面を迎えた。暫定調整係数はDPC制度の開始時から前年度並みの報酬を保証するという役割を担ってきたが、これがなくなることには非常に大きな意味がある。暫定調整係数が高かった病院は、ある意味今まで“貯金”ができたわけだが、今後は減収に転じるケースもあるだろう。実態に応じて適切に評価されるための取り組みは重要であり、そのためには制度を理解する必要がある。
今回は、18年度診療報酬改定におけるDPC/PDPSの変更点を整理し、考察を加えた。
■先発品に逆戻りも?
まず、機能評価係数IIは、現状の8項目での評価から、従来の6項目へと回帰する。16年度改定で新設された重症度係数が廃止され、後発医薬品係数は後発医薬品使用体制加算を機能評価係数Iで評価する形に切り換わる。
この連載でも、重症度係数はDPC/PDPSの趣旨に反すると主張としてきた。入院中に過剰な検査や画像診断などを行えば評価が上がり、損失補填的な意味合いが強いことを考えると、廃止は適切な方向と考えられる。ただし、この係数には暫定調整係数の廃止に伴う影響を吸収するという意味合いもあったことから、その点は激変緩和係数として改定後1年間のみ評価される。
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次回配信は3月19日5:00の予定です
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