【医療法人社団水光会 宗像水光会総合病院 理事長 津留英智】
最近、医療・介護の2025年問題の議論だけでなく、むしろその先にある「2040年問題」がメディアなどで取り上げられています。人口構成の変化は地域差がかなりありますが、首都周辺・大都市圏以外では、間違いなく少子高齢・人口減少社会へと向かっており、特に医療需要が減少していく医療圏では、病院経営がますます難しくなっていきます。
各医療圏では、25年を見据えた地域医療構想と地域包括ケア構築についての協議が進んでいると思いますが、40年に国際情勢や我が国の経済がどうなっているのか、そもそも社会保障制度が保たれているのかも予測困難です。だからこそ、医療機関が地域に対して今できることを考え、次の世代のためにアクションプランを立て、できることから行動を起こし、将来に向けた種をまいておくことが大切と考えます。
宗像水光会総合病院は、福岡県の宗像医療圏(人口約15万)の福津市にあります。同市は東洋経済オンラインの「住みよさランキング2017」で、九州で第1位、全国でも35位と高く評価され、今のところは人口増加地域です。また、隣接する宗像市には、昨年世界遺産に登録された沖ノ島があります。
当院は1965年(昭和40年)に21床の外科病院として開業し、一貫して救急医療に取り組み、その後300床まで増床、90年に新築移転して宗像水光会総合病院となってからは、老人保健施設100床を併設し、91年看護学校を開設しました。そのほかにも、介護付き有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、認知症グループホーム、通所系施設、訪問看護ステーション、訪問リハ、小規模多機能型居宅介護、地域包括支援センターなどの介護系、在宅ケア施設を運営しています。
総合病院として、ほとんどの診療科を有し、7対1一般病床194床、ICU8床、地域包括ケア病棟49床、回復期リハ病棟49床で構成された基幹型臨床研修病院です。また、福津市と宗像市の救急医療の約70%を受け入れながらも、介護や在宅ケアまでを提供しつつ、中核的医療機関として地域に根差した運営をしています。
昨年平均の病床利用率は92%、平均在院日数13.3日、救急搬送の受け入れは年間約3200台でさらに増加傾向にあります。地域医療構想における当院の役割からも、地域の中核的医療機関として、このままの体制で2025年を目指すことになります。
しかし40年を見据えた場合、経営者(私)も含め、多くの職員も随時世代交代していく必要があります。地域で求められる医療機関として存続し続け、さらに進化を期待しつつ、次世代にバトンを託すためには、今何ができるのか。また、40年にも地域の患者さんに選ばれ、地域の医療機関・介護施設、救急隊にも選ばれ、また地方行政にも選ばれながら、さまざまな事業を託され、何より職員に選ばれてマンパワーが確保できる医療機関でありたい。そのためにも、今何をすべきか、何に投資をしていくのか、常に検討が必要です。
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