【千葉大学医学部附属病院 副病院長・病院長企画室長・特任教授 井上貴裕】
医療政策などによって、急性期病院の在院日数は短縮され、結果として、重篤な入院患者の割合が高まっている。診療密度の高い患者の治癒を急性期病院が目指すのであれば当然の結果といえる。また、地域包括ケア病棟が増加しているが、比較的状態が落ち着いた患者の転棟が増えれば、急性期病棟における重症患者の割合は結果的に高まっているはずだ。麻酔科医や外科医の不足のため、今後は手術施設の集約が進む可能性が高く、ハイリスク症例への手術適応の拡大も進むだろう。そうなれば、特に高度急性期病院には、さらに重症症例が集まってくるはずだ。
このような状況で、重症患者はICUなどの集中治療室に集約するのか、あるいは各診療科に優先的に割り当てられた一般病床に分散させて診るのかは、病棟再編をする上で欠かせない視点だ。診療報酬の動向によって変わってくるが、集約型と分散型にはそれぞれメリット、デメリットがある。今回はICUなどの重症系ユニットの機能を整理し、設置の適否について考えてみたい。さらに重症系ユニットを複数持つ病院による運用方法を考察し、最後には医療政策における論点に触れたい。
1.ICUなどの重症系ユニットを設置すべきか
特定集中治療室管理料やハイケアユニット入院医療管理料などは高単価で、多くの急性期病院が届け出ている。地域医療支援病院には、実情に応じた集中治療室の整備が課されているし、「スタッフのモチベーションアップ」を理由に届け出る病院もある。
(残り2858字 / 全3506字)
次回配信は9月4日5:00の予定です
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】