2016年度の診療報酬の改定からまもなく半年。「重症度、医療・看護必要度」(以下、看護必要度)の新基準の適用の猶予(一部を除く)など、今月末で幾つかの経過措置が終了し、特に7対1病棟を持つ病院にとって大きな岐路を迎える。“決戦”の幕開けとも呼べる10月は、将来の病院経営においてどのような意味を持つのか―。有識者などへの取材から、今後の論点を探る。 |
DPC制度に参入する病院(10対1以上)は、匿名化されたカルテの情報や診療報酬の請求内容を「DPCデータ」として国に提出する必要がある。だが、7対1病棟や10対1病棟を持つ医療機関でも、出来高算定の場合は提出の義務がなかったため、国は12年度改定でデータ提出加算を新設し、より幅広いデータの集積に乗り出した。
14年度改定では、届け出の対象を全病棟(「短期滞在手術基本料1」を除く)に広げるとともに、すべての7対1病棟(出来高算定を含む)と地域包括ケア病棟(病室)についても、同加算の届け出を義務付けた。そして春の改定に伴い、10対1病棟入院基本料を届け出る許可病床200床以上の病院に関しても、来年4月からデータの提出が必須となる。
■包括ケアのEFファイルも義務化へ
データ提出加算の経過措置のポイントは2つある =表、クリックで拡大= 。
一つは、DPCデータの提出が義務付けられている7対1病棟、10対1病棟、地域包括ケア病棟で、Hファイルのデータ提出が始まることだ。春の改定では、看護必要度の項目と基準が大幅に見直された。対象となる診療報酬を秋以降も届け出る場合、医療機関は遅くとも9月から、改定を踏まえた新たな評価票で患者の重症度を計る必要がある。
許可病床200床未満の10対1病棟の場合、DPC対象病院、DPC準備病院、同加算の届け出病院(出来高算定)のいずれかが対象で、「救命救急入院料2・4」や「特定集中治療室管理料」、「ハイケアユニット入院医療管理料」を届け出ている病院は、各治療室の入院患者の看護必要度を提出することになる =表、クリックで拡大= 。データは四半期ごとに提出するため、最初の期限は来年1月22日となる。
【決戦の10月がやってくる!シリーズ】
(2)急性期はサブアキュートが「本流」に
(3)「丸裸」、マイナスにとらえず活用しよう!
(4)7対1で空床増、包括ケアは“営業”強化を
(5)地域包括ケア病棟でもやるか、では失敗する
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