6年に1度の介護報酬との同時改定となる2018年度の診療報酬改定。同年春は、医療計画と介護保険事業(支援)計画の見直しの時期にも当たる。診療報酬改定を管轄する厚生労働省保険局の新局長にこのほど就任した鈴木康裕氏は、同局の医療課長として12年度の同時改定で陣頭指揮を取った。25年に向けた大きな岐路となる次期改定について、鈴木局長に話を聞いた。【聞き手・敦賀陽平】
12年度、18年度、24年度を、「ホップ」「ステップ」「ジャンプ」と言っていますが、あの時も、団塊の世代が75歳を超える25年をにらんでいました。当然ながら高齢化も進みましたし、高額薬剤のような話もあって、国民皆保険制度の維持とイノベーションの促進というもののバランスが、より厳しくなりつつある気がしています。がんなどを中心とした在宅医療も相当増え、病院のような施設と外来や在宅とのバランスが、在宅側に少しシフトしているようにも感じます。
―12年度改定の際、中央社会保険医療協議会(中医協)で厚労省が提示した「ワイングラス型」の図が注目を集めました。あの図はどのような考え方で出したのですか。
今は常時配置の考え方でやっていますが、かつての総配置数で見ると、現在の7対1は「1.4対1」に当たります。昔は「2対1」が最上位だったことを考えれば、7対1病床が38万床近くに上り、一般病床のかなりの部分を占めているのは、ちょっとボリューム的に多過ぎるのではないかというのが一つ。06年度改定で7対1が新設された際、その後これほどまでに増えることは、おそらく中医協でも想定していなかったと思います。
もう一つ、看護師さんの配置数というのは一番ビジブル(分かりやすい)ですが、病院における入院の支払いというのは、やはり患者さんの重症度であったり、それ以外のケアの大変さであったりという部分を中心に決まるべきです。配置数も含めて考えるのはいいですが、結果であるべき配置数が主眼で評価されているのは、やはり是正すべきところがあると思います。この2つが大きな課題でしたし、その後の2人の医療課長も、その点に取り組んでいました。
■診療報酬は「謙抑的でなければならない」
―18年度の同時改定に向け、どのような問題意識を持っていますか。
先ほどの「ホップ」「ステップ」「ジャンプ」論からすると、25年に向けた同時改定としては実質上、大きな舵を切れる最後の改定だと思います。24年度にも同時改定はありますが、25年の前年なので、あまり大きな舵は切れないでしょう。
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