【株式会社医療経営研究所 伝え方コンサルタント 佐藤健太】
皆さん、こんにちは!
伝え方コンサルタントの佐藤健太です。病院現場におけるリーダー育成をテーマにお伝えしているこの連載、未熟なリーダーがかかりやすい“4つの病気”として、部下に仕事を任せられない「自分でやった方が早い病」、きちんとしかることができない「部下を甘やかしてしまう病」、部下のエネルギーを奪ってしまう「ブラックホール病」について説明してきました。今回は最後の一つ、「クローズアップ病」を取り上げます。
世界の喜劇王と呼ばれたチャーリー・チャップリンは、次のような名言を遺しています。
Life is a tragedy when seen in close-up, but a comedy in long-shot.
―人生はクローズアップで見ると悲劇だが、ロングショットで見れば喜劇だ―
この名言は、狭い視野で物事をとらえるのでなく、より広く大きな視点で一つ一つのことに向き合う重要性を教えてくれています。仕事でも同じことが言えるのではないでしょうか。自分の担当業務にしか関心がなく、他部門と連携が取れなかったり、周囲の意見に耳を傾けず、自分の考えを強引に推し進めようとしたりすると、一緒に働く人たちのモチベーションを下げてしまうリスクが高まります。
この コラムの第1回 で、リーダーとは 「相手の心の導火線に火を付けることができる人」 だと定義しました。リーダーは、部下に明るい未来を感じさせたり、新鮮な気付きを与えたり、「やってみたい」という意欲を引き出したりする存在でなくてはなりません。リーダーが視野をどれだけ広く持てるかで、組織の雰囲気も変わってくるのです。
しかし、実際の病院現場では、視野が狭くなっているリーダーも少なくないようです。
■士気の低いミーティング、原因は院長にあり!
以前、ある中小病院の接遇委員会のミーティングに同席したときのこと。その委員会は、「もっと患者さんに喜ばれるサービスを提供しよう」という目的でつくられたのですが、「最近、活動が停滞気味なのでサポートしてくれないか」との相談を事務長から受けたのです。
実際にミーティングが始まると、参加者のテンションが一様に低く、沈んだ雰囲気です。「せっかくの機会なので、まずは意見をどんどん出し合いませんか?」と提案してみました。しかし、参加者の一人である医事課の職員が、不満そうにこう言ったのです。
「私たちは、これまでもこの委員会で、患者さんのことを考えた提案を幾つも行ってきました。でも、『これまでにやったことがない』とか『患者はそんなこと求めていないんじゃないか』といった理由で、院長にすべて却下されてきたんです」
次回配信は8月26日5:00を予定しています
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