【株式会社医療経営研究所 伝え方コンサルタント 佐藤健太】
皆さん、こんにちは!
伝え方コンサルタントの佐藤健太です。病院現場におけるリーダー育成をテーマにお伝えしているこの連載、前回のコラム「組織に必要なリーダーってどんな人?」では、今こそリーダー育成が求められている背景やリーダーの定義について確認しました。
優れたコミュニケーション能力を持ち、価値観も背景も異なる人たちが集う組織の中で、明確なビジョンや夢をしっかりと描き、その実現のため周りの人たちを自発的、主体的に参加させることができる人。相手の心の導火線に火を付けることができる人
しかし、残念ながら、相手の心の導火線に火を付けるどころか、反対に火を消してしまうようなリーダーも少なくありません。
今回は、 未熟なリーダーがかかりやすい“4つの病気”の一つ、「自分でやった方が早い病」 について説明していきます。
■優秀なリーダーほど部下が育たない
33歳の薬剤師Kさんは、ある地方都市の薬局で管理薬剤師として働いています。以前は同じ地域にある大きな病院の薬剤部に勤めていました。先日、私が講師を務めた研修の場で話す機会があったので、どうして病院を辞めて薬局に転職したのか質問してみたところ、こんな答えが返ってきました。
「『この病院に勤めていても、これ以上、成長できない』と感じたのが、転職の一番の理由ですね。上長がとても仕事のできる人で、大抵のことは自分でやってしまうんです。周りのスタッフは言われたことだけしていればよかったんですが、病院薬剤師として働き始めて5年もたってくると、いろいろと新しい仕事にも取り組みたいじゃないですか。でも、そういった機会がなかなか与えられなかったんです。このままだと、社会人としての自分の成長にも限界があると感じて、思い切って転職しました」
Kさんが勤めていた病院の上長は、とても優秀な人だったそうです。でもその半面、部下に仕事を任せたり、新しいチャレンジをさせたりすることがあまりできない人だったのです。
次回配信は6月3日5:00を予定しています
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