【株式会社MMオフィス代表取締役 工藤高、株式会社メディチュア代表取締役 渡辺優】
■お知らせ
本連載は2013年4月14日から始まり、今回で82回目となるが、MMオフィス工藤とメディチュア渡辺氏との共著での連載は最終回としたい。工藤の連載としては本誌の前身CB FAXニュースの08年4月創刊時(275回連載)から数えると8年余りで、本連載と合わせると357回となる。読者の皆様には長期連載にお付き合いいただき、ありがとうございました。
次回からはメディチュア渡辺氏による「データで読み解く病院経営」が始まります。引き続きご愛読お願いいたします。 MMオフィス工藤高
DPC病院の経営に多大な影響を及ぼしている機能評価係数Ⅱのあり方について、本連載ではこれまでもさまざまな検討を行ってきた。例えば 前回 はカバー率係数を取り上げた。カバー率係数はほぼ病床数に依存している係数であり、努力余地はほぼない。そのような項目はインセンティブとして無意味であり、暫定調整係数から機能評価係数Ⅱへ置き換えを進めるほど、病床規模による格差が広がってしまう。また、今回新設された重症度係数は、暫定調整係数を廃止する影響を考慮していると理解しているが、本当に重症な患者に対し、医療資源が投入されているのか、非効率的な医療が行われているのかの判別がつかないまま、評価を行っていることは、包括払い制度の根本を否定しかねない極めて大きな問題である。もし、今後も重症度係数を継続するのであれば、真に「重症な患者」を評価している係数の妥当性を示すことが必要である。
■重症度係数と後発医薬品係数は矛盾した評価に
重症度係数は各DPC病院群の相対評価である。大学病院本院のDPC病院Ⅰ群は81病院、それに準ずるDPC病院Ⅱ群は140病院と数が少ない。一方、DPC病院Ⅲ群は1446病院あり、重症度係数の何かしらの傾向が見えてくるかもしれないため、DPC病院Ⅲ群を対象に検証してみたい。
まず、重症な患者が多い病院であれば、相対的に在院日数も長くなっている可能性があると考え、重症度係数と効率性係数の関係性を散布図で見た=グラフ1=。
グラフ1 DPC病院Ⅲ群における重症度係数と効率性係数の関係
厚生労働省中医協DPC評価分科会資料を基に作成(以下のグラフも同様)
7月6日からは新連載「データで読み解く病院経営」が始まります 【訂正】
1ページ目の本文終わりから2パラ目 「 DPC病院Ⅲ群は1667病院あり」を「DPC病院Ⅲ群は1446病院あり」に訂正しました。
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