【株式会社MMオフィス代表取締役 工藤高】
1月27日の中央社会保険医療協議会(中医協)では、2016年度の診療報酬改定案のたたき台、いわゆる「短冊」が示された。
これまで筆者は「7対1の在宅復帰率の計算において、回復期リハビリテーション病棟や地域包括ケア病棟、療養病棟(在宅復帰機能強化加算あり)等への転院より、自宅等への復帰を高く評価する案」は納得できないと、さまざまな媒体で何度となく言ってきた。
連載65回「 自宅退院率を左右するのはケースミックスだ 」の中で、「サッカーで例えると、ゴールもアシストも評価しているのが現状である。それが自宅退院というゴール重視の評価体系になれば、プレイヤー間のパスが減り、みんなスタンドプレイ中心の無謀なロングシュートが目立つようになって、連携の取れないチームになるだろう。サッカーも医療も連携が大事なのは言うまでもない」と書いた。1月30日のU-23のサッカー男子23歳未満の日本代表の韓国戦だって、見事にパスがつながっての大逆転劇だった。
短冊では自宅等を高く評価する案は消えており、逆に有床診療所にも在宅復帰率○%の加算を新設して、そこへの転院もOKとして、要件を緩和した。どうやら在宅復帰率のハードルである75%の数値だけを引き上げることで落ち着きそうだ。
また、「重症度、医療・看護必要度」(以下、看護必要度)では、M項目に脊椎麻酔、救命等に係る内科的治療が追加となった。連載70回「 看護必要度基準ハードルは政府のサジ加減? 」では、全身麻酔を対象にすると無用な全麻が増えるかもしれないと、モラルハザードが生じる懸念を述べたが、それも払拭されたと言えよう。
短冊で具体的な施設基準が見えてきたものの一つに「病棟群単位による届出」がある=表=。この項目は、7対1入院基本料の厳格化による医療機能分化の促進に対し、7対1と10対1の混在を認めることで、看護師の雇用等の激変緩和を図る措置として位置付けられている。
次回配信は2月17日5:00を予定しています
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