主にロボット事業を手掛けるベンチャー企業では、医療や介護に関する製品の開発などに取り組む企業が最も多いことが、帝国データバンクの調査で分かった。一方、年間売り上げが10億円以上の企業は、全体の1割程度であることも明らかとなり、大半のロボットベンチャー企業が、事業を軌道に乗せ切れていない点も浮き彫りとなった。【ただ正芳】
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帝国データバンクでは、自社のデータベースや公開情報を基に、主にロボット事業を手掛けるベンチャー企業110社を選出。主力商品の分野や年売上高、資本金などの項目について、分析を行った。 その結果、主力商品の分野では、「医療・介護・福祉」が36社で全体の32.7%を占めた。以下は「ホビー・コミュニケーション」(20社、全体の18.2%)、「要素技術」(17社、同15.5%)、「物流・移動支援」(9社、同8.2%)などの順となった。この結果について、帝国データバンクは、「ホビー・コミュニケーション」や「移動支援」などの分野には、介護や医療に応用できるロボットを手掛けている企業も多いことから、「実際は、ロボットベンチャー企業の半数程度は、医療や介護に関連する機器を手掛けているといえる」と分析している。 また、年売上高別での分類では、「1億円未満(未詳含む)」が67社(全体の60.9%)で、最も多く、次いで多かったのは「1億円以上5億円未満」(24社、同21.8%)となり、ロボットベンチャーでは、年売上高が5億円に届かない企業が8割余りを占めた。年売上高が10億円を超えている企業は、12社(同10.9%)にとどまった。 ■「さらなる助成制度の充実など環境整備を」 帝国データバンクの関係者は、介護市場の拡大や、経済産業省の開発補助事業などの影響もあり、ロボット市場へのベンチャー企業の参入は少しずつ広がりつつあるとする一方、企業年齢が若いベンチャー企業にとっては、資金調達先の確保こそが課題であることが調査でも示されたと指摘。その上で「ロボットを今後の成長産業に育成するには、産学官の連携に加え、各種助成制度の充実などの環境整備がさらに必要」としている。
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